アメリカにて。 - ドメスティック日本人一家の滞米日記

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No.0

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07

25

16:40
Mon
2011

No.064

長新太「みみずのおっさん」は原発絵本

NYは暑い日が続いていますが、それでも湿度が低い(30~40%)ため
日本の夏ように熱気が纏わり付くような不快さはありません。

日本は節電の夏を迎え、酷暑の中エアコンの使用を牽制し合うような
いかにも日本人的相互監視を行っていると聞きます。
さもありなんとは思いつつ、この自由の国の人がみれば
異様さを感じてしまう光景に違いありません。
この相互監視によって日本の高い秩序やモラルが維持されていることは一面の事実です。
どうぞ体を壊さぬよう、そしてテレビが言うからではなく
自分の信念を持って節電なり、通常通りの電力使用なり、あるいは電力浪費に
取り組んでいただけたらと思います。




さて表題の件ですが、この絵本は友人から結婚祝いにプレゼントされました。
長新太といえばシュールで終末を感じさせるストーリーテリングと
落書きレベルの絵で知られる絵本作家です。好き嫌いの分かれる作家だと思います。

この絵本のあらすじを説明しますと
ペンキをつくる工場が爆発し、そこから出たどろどろしたペンキで街は機能不全に陥ります。
善良な大人は危険を認識しないままどろどろに押しつぶされて死に、
食品も動物もペンキでどろどろに汚染されます。

みみずのおっさんは、このどろどろを食べてきれいなどろを排泄します。
世界は浄化され恐竜の闊歩する世界に戻るものの、火山からはまだ少しペンキが出ています。

どうでしょうか?私は平時にこれを読んでも「何だこれは、破滅的で子供に読ませたくないなあ」
位にしか思わず、娘が引っ張り出してくるまで本棚にしまったまま一顧だにしませんでした。
震災後に読み返してみるとこれは「デンキを作る工場」が爆発して「放射性物質」がまき散らされることの
強烈な直喩だと、合点がいきました。

宮崎駿はチェルノブイリで放射性物質を分解するバクテリアが発見されたことに
インスパイアされて「風の谷のナウシカ」の腐海の構想を得たそうです。
おそらくこれも同様の着想から生まれたものでしょう。
他にも私の知る限りではアニメ映画「サマーウォーズ」や鬼頭莫宏の漫画「なるたる」では
原子力発電所がテロの標的になるというストーリーが展開されていました。
黒澤明監督のオムニバス映画「夢」では原発が爆発した日本が
文字通り悪夢として描かれていました(赤富士)。


しかし、それでも私は原発の危険性を自分のこととして認識しなかった。
何度も繰り返し先人の想像力が訴えかけてきても、分からなかった。
私が想像力の欠如した愚か者だからと言ってしまえばそれだけのことですが、
嫌なことは目をつぶって見ないようにする、意識から追い出すということをしていたわけです。


しかし、いざ原発に向きあってみたところで、その闇は深く巨大で、一個人にできることなど
何もないように思われます。
昨日、ノルウェイの首都オスロと近郊の島で93人が犠牲になる凄惨なテロがありました。
犯人はノルウェイの移民政策に反対し、抗議の意味でこの事件を起こした旨の文書を
インターネットにアップしたそうです。
日本の秋葉原でも、絶望した青年が無差別に通行人を殺す事件がありました。
絶望した人間が凶行に及ぶことは十分にあり得ることです。

目を背けることも、凶行に及ぶことも、正しくはないのでしょう。
では正しいことは何なのか?私には分かりません。
ただ事実を直視し、そして絶望しないという強固な意志が一人一人に求められていると感じます。
それは言葉で言うのは簡単でも、実際には非常に難しいことです。




ところで、日本の電気代は世界一高いとはよく聞くフレーズですが、私はアメリカに来て
電気料金の請求書を見て仰天しました。280ドル(1ドル80円換算で約22000円)もするのです。
日本ではせいぜい6000円前後でした。エアコンをほとんど使っていない6月分の請求です。
・部屋が広くなった
・間接照明で白熱灯をたくさん付けている(日本は蛍光灯一個で部屋中明るくするが、
 こちらでは一部屋で5,6個、白熱灯を付ける。雰囲気は確かによいが…)
・日本の省エネ家電が優れている

などの要因があるかと思います。(ちなみに日米とも調理と給湯はガスです)
冬になると暖房(セントラルヒーティング)で400ドルくらいになるそうです。
主婦的には恐ろしい話です。
ガソリンも同じで、日本よりは安い(現在1ガロン=4リットル弱が4ドル=320円)
のですがちょっとした買い物でも20~30分のドライブを余儀なくされるので
月あたりのガソリン代は高額です。

産油国アメリカには資源を節約しなければならないという発想はなさそうです。
自動車の選択動機でも、燃費は特に考慮されず、日本車の故障の少なさや
コストパフォーマンスの良い走行性が評価されているようです。
(余談ですが、3億人の人間が車必須の生活をおくっている米国に比べれば
日本市場なんてものは歯牙にもかからないものであろうと実感しました。
車は普及し終わり、安い軽が重宝され、若者は車離れ、そもそも購買力がないetc)

日本は資源がない分、少ない資源を効果的に使うことには大変優れています。
これから水、食料、化石燃料等の資源争奪戦が本格化するでしょう。
日本の果たすべき役割は、省エネルギー国として世界の模範を示すことだと思います。
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07

01

23:57
Fri
2011

No.062

混迷を深める日本を憂う

毎日、日本の事を思っています。
いずれ帰る国。母国。それがいまずたずたに引き裂かれているのを見るのは辛いものです。

今回の事故は、私の責任でもあると思います。
原発は安全ですというコマーシャルを鵜呑みにし、電気を大量に消費する生活に
疑問を持とうともしませんでした。
反原発と言えばサヨクのやることと一蹴し、胡散臭いものだと思っていました。

みごとに洗脳されていたわけで、今回の事故でやっと目が覚めた人はたくさん居るでしょう。
原発は危険、高コストで、一度事故が起これば故郷を追われ、子が親よりも先に死ぬという
生物共通の悲劇が起こるのだということをやっと知りました。

ごく普通に家庭を守りたい主婦、土地が命である農家こそが、声を上げる問題でした。
これらは一般的に保守的といわれている人々ですが、
彼らが原発推進である自民党を支持していたことは、
政府とマスコミがいかに原発から民衆の目を逸らすことに成功してきたかを物語っているでしょう。


今回の政府の対応は、目を疑うようなものばかりです。
子供の被曝量は少なければ少ないほどよい、というのは絶対に正しい真理だと思っていたのですが、
高木文部科学大臣は福島の小中学校の土を入れ替えなくてもよい旨の発言をしたそうです。
http://ceron.jp/url/www3.nhk.or.jp/news/html/20110428/t10015612671000.html
「基準値以下なら積極的に被曝させろ」と言わんばかりです。

その基準値は大幅に引き上げられ、たとえば水道水が10ベクレル/リットルだったものが
300ベクレル/リットルになっていますし、
基準が定まっていなかったものは、最大限被曝できる限界の量を、対象物だけで
被曝する値で割って決められているようです。

つまり1999ベクレルの野菜を食べ、299ベクレルの水を飲み、3.8μSv/hの校庭で
子供を遊ばせていれば、総合的に基準値を何倍も超える被曝をしてしまうということです。

積極的に汚染を広げようとしてしている点も疑問を感じます。
がれきや乳牛を全国に移動させ、汚染されていない場所を減らそうとしています。
これはどういった意図があるのか?
将来の放射線障害訴訟に備えて、比較対象とできる地域をなくそうとしている
のではないでしょうか。発がん率の増加を、放射線の影響によるものか、
世代的な変化によるものか分からなくさせる目的があるのではないかと
穿った見方をしてしまいます。


はっきり言って私が何を言っても、安全な場所から高見の見物をしているとしか取られないでしょう。
それでも、今までの無知、無関心が今回の事態を招いたのである以上、
何かを言わずにはおれない。そんな気持ちです。
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